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「聲の形」 子供が大人になるまでの険しい道のりを描いた映画。 ネタバレ 感想

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聲の形(2016)


オススメ度 S(どんな人にも見て欲しい。ただし精神が安定してる時に!)


〜鑑賞前の心境〜


「聲の形」は原作も読んだことが無かったので、本作を初めて知ったのは映画館で予告編を観た時でした。、その時は昔いじめてた子と仲良くなる 普通の恋愛モノかな〜という具合のテンションで、特に予告編でよくある「自分の知らない人やキャラクターの名前を主人公が絶叫してる」というシーンが苦手なので、当初はそんなに興味は湧かなかったのです。しかし、後で京アニさんのアニメだということがわかって「けいおん!みたいなほのぼのした映画かな ♪

絵もいい感じだし面白いかもね〜w」ぐらいの呑気なテンションでたまたま時間があった為、緩〜い気持ちで鑑賞したのでした。










〜鑑賞後の心境〜


個人的評価  95点


☆良かったトコロ


①キャラクターがみんな個性と魅力に溢れていた!


「聲の形」では登場人物全員のキャラ分けがしっかりとしていてそれぞれが実在してもおかしくないようなバランスのキャラクターだったので、観客が自分に近い人物ついついを探して感情移入してしまう様な映画になっていると思います。この様な手法はどこか「桐島、部活やめるってよ」を連想させられました。しかしこのキャラ分けがしっかり出来ていることがイジメという劇中での大きなテーマの一つに密接にリンクしているというのが本作の凄いところです。キャラクターの性格が多種多様である以上イジメに対する立場も多種多様になる為、自然と自分に近い登場人物の誰かに感情移入するのと同時に自身のの立場からイジメ問題について考えさせられる事になるのです。その結果物語に深く入り込み事が可能となり、アニメでありながらとてもリアルに感情を揺さぶってくるのだと思います。


キャラクターのそれぞれの魅力は挙げだしたらキリが無いですが、特に注目したのがヒロインの西宮硝子ちゃんでした。彼女が聴覚障害であるが故に、口数は少ないけど明るいという独特なキャラクター像を作り出していたし、必死に何かを伝えようとしてる感じとかもとても可愛かったため、耳が聞こえないことは「ハンディキャップでは無くちゃんとその人の個性であり魅力である」という事がしっかり表現されていたため制作陣は原作漫画はあるものの動きや仕草を含めて本当に真っ当な姿勢でキャラクターを作りあげているのだなと思い、グッと来ました。




②主人公の成長譚として完ぺきだった!


前文で観客おのおのが感情移入出来ると書きましたが、自分は主人公に一番感情移入しました。この主人公の様にイジメではありませんが、小学生の時はとてもやんちゃで自己中心的であった為「君は王様じゃないんだよ!」とよく怒られた物でした。そしてこの主人公と同じように過去に素行が悪かった人間が一番苦しむのは中高生という大人になる途中の段階だと思います。中高生になると良心や思いやりという事を徐々に理解していくのと同時に過去の悪ガキだった自分を許せなっていくため、やり場のない怒りや悲しみに悩まされるのです。この映画では主人公のそういう過程が丁寧に描かれていたのです。確かに主人公のイジメは度が過ぎていましたが、まるで殺人でも犯したかの様に自分が幸せになることを拒絶し、生きている価値すら無いのではないかと自問自答する描写は所々思い当たる節があり映画を見ている間胸をえぐり取られるようでした。そして主人公に自分を投影したすべての大人と同じように彼も劇中でちゃんと答えを見つけます。「自分が死んで償う程の事とはもう思わない。」というセリフから自分の悪い過去や側面を取り除くのでは無く、許し受け入れる事が必要だったという事に気づくことで大きく成長したのだと思います。自分さえ良ければいいと思っていた子供から、悩める少年時代を経て大人になる。そのプロセスが丁寧に描かれている事が本作最大の魅力であり、だからこそ今までの自分を見ているかの様に心を揺さぶられたのだと感じました。



★ちょっとだけ不満


aikoさんの曲めっちゃいい曲だけどあんまり本作と合っていないと思うのは僕だけでしょうか・・・笑


「主人公が拒絶していた他人を受け入れて号泣するラスト」からの「ah 〜 恋をしたのは〜」とい流れにはかなり違和感を感じました。


しかもaikoさんは原作ファンというからますます疑問に・・・


恋愛要素もあったけどそれよりも大事なテーマが沢山ある映画だと思っているのですが人それぞれってことですかね。


けれど今は「もし硝子ちゃんの耳がある日聞こえる様になったのなら、今まで口にして伝える事が出来なかった思いをこれでもかと吐き出している歌」なんじゃないかと考えて自己完結しています w



まとめ


以上のように自分にとってとてもいい経験をする事が出来た映画でした。監督の山田尚子さんはとても「けいおん!」と同じ監督さんとは思えない程幅広いセンスの持ち主だと感じ、もっと注目していかねば💦と反省した次第です。